Case 11 / Qwen3.8 で議事メモ整理

Qwen3.8 は、前回の検証で見つけた弱点を解消していた

検証環境に Qwen3.8(27B)が加わりました。最初の検証と同じ会議メモ・同じプロンプトで10モデルを比べています。7月の検証で Qwen3 の3サイズが揃って落とした項目を、Qwen3.8 は取れるようになっていました。

  • 実施 2026年8月
  • 試行 各モデル3回(n=3)
  • 対象 ローカル9モデル + Sonnet 5
  • 出力 全30件

Conclusion

結論

検証環境に Qwen3.8(27B)が加わりました。最初の検証と同じ会議メモ・同じプロンプトで10モデルを比べています。7月の検証で Qwen3 の3サイズが揃って落とした項目を、Qwen3.8 は取れるようになっていました。

  1. 01

    前回の検証で見つけた弱点が、Qwen3.8 で解消されていた

    2026年7月に行った最初の検証で、Qwen3の3サイズが揃って落とす項目がありました。会議で「来週の役員会で承認を諮る」と決まった件を、ToDoとして書き出さないのです。承認待ち・依頼待ちの事項をタスク化する判断が弱い、という指摘でした。今回 qwen3.8:27b(Qwen3の次世代)は3回とも取れています。一方で現行世代の32B・14Bは今回も3回とも落としました。世代交代で直ったが、現行世代には残っているということです。

  2. 02

    ただし「Qwen3系の弱点」ではなかった

    同じ項目を llama3.1:8b も3回とも落としています。逆に gemma3:12b・phi4:14b・Swallow-8B は3回とも取れました。いずれも Qwen3 の32Bより小さいモデルです。モデルのサイズでも、開発元の系統でもなく、モデルごとの性質でした。「大きいモデルを選べば安全」という判断が成り立ちません。実際、20.2GBの qwen3:32b が17点、8.1GBの gemma3:12b が20点です。

  3. 03

    3つ並んだ数値のうち、最後のひとつが落ちる

    会議では「売上は前年比120%」「ROASは380%」「CVRは2.1%」と数値が3つ続けて出てきます。前の2つは30件中27件が拾ったのに、CVRを書いたのは9件だけでした。サマリーを「5〜8点に整理」と指示しているため、何かを削らざるを得ず、数値が削られています。議事メモを自動化するなら、落としてはいけない数値をプロンプトで名指しする必要があります。なお、事実にない数値の創作や雑談の混入は全モデルでゼロでした。差が出たのは取りこぼしだけです。

Input

入力:何を渡したか

実際に投入したデータを公開しています。

Process

処理:どう投げたか

プロンプトは全モデルで同一、1文字も変えていません。

Output

出力:何が返ってきたか

全30件を公開しています。クリックで出力のJSONを開きます。

モデル試行
claude-sonnet-5クラウドrun1run2run3
qwen3.8:27brun1run2run3
qwen3:32brun1run2run3
qwen3:14brun1run2run3
qwen3:8brun1run2run3
gemma3:12brun1run2run3
phi4:14brun1run2run3
llama3.1:8brun1run2run3
Swallow-8Brun1run2run3
ELYZA-JP-8Brun1run2run3

Scoring

採点:どう測ったか

採点キーはモデル出力を1件も見ないうちに確定させています。実行後に基準を足したり緩めたりしていません。

Result

結果

結果

22点満点(サマリー7論点×1点 + ToDo5件×3点)。減点はノイズ混入・検討段階の誤り・ハルシネーションが各−2。

モデルrun1run2run3中央値ばらつき応答中央値
claude-sonnet-5クラウド 222221221
qwen3.8:27b 22222222026.2秒
gemma3:12b 2020202005.7秒
qwen3:32b 17171717022.6秒
phi4:14b 1717171708.4秒
Swallow-8B 1717171702.8秒
qwen3:14b 17161616111.1秒
qwen3:8b 1715151527.3秒
ELYZA-JP-8B 1515151502.8秒
llama3.1:8b 1414141404.0秒
ハルシネーション・ノイズ混入は全モデル0件だった。 コーヒーメーカーや天気の雑談を混ぜたモデルも、メモにない数値を作ったモデルもゼロ。 検証01の結論(書かれていることを整形する能力はローカルでも崩れない)が再現した。 差が出たのは取りこぼしだけである。

速度と出力量

モデル中央値出力トークン回答の文字数スコア
Swallow-8B2.8秒29642917
ELYZA-JP-8B2.8秒30745515
llama3.1:8b4.0秒44663514
gemma3:12b5.7秒36159020
qwen3:8b7.3秒82564515
phi4:14b8.4秒58272217
qwen3:14b11.1秒83749616
qwen3:32b22.6秒76351917
qwen3.8:27b26.2秒2,20774522
qwen3.8:27b の出力トークンは2,207で、他モデルの2〜7倍にのぼる。 思考モードが既定ONで、thinking に大量のトークンを使うため。 ただし回答本文は745文字で、他モデルと大きくは変わらない。 トークン課金の環境では、この差がそのままコストになる。
gemma3:12b は 20点・5.7秒。qwen3.8:27b の1/5の時間で9割の精度が出ている。 しかも「役員会での承認」を 3/3 で取れており、取りこぼしの質も悪くない。 満点が要るか、速さが要るかで選ぶことになる。

Discussion

考察

なぜ全モデルを測り直したか

追加されたモデルだけを流して過去の数値と並べれば早い。だがそれはできなかった。

項目検証01(2026/07)検証11(今回)
試行回数n=1n=3
対象Qwen3 3サイズ + Sonnet 59モデル + Sonnet 5
採点定性(◎○△×)のみ機械照合 + 目視
生出力残っていない全30件を保存
条件が違うものを並べると、モデルの差なのか条件の差なのか判別できない。 入力とプロンプトは検証01のものを1文字も変えずに使い、全モデルを同一条件で投げ直した。
そのため検証01のスコアと直接比較してはいけない。

タスク

架空のEC企業のマーケ月次定例(文字起こし1,435文字・参加者4名)から、 会議サマリー(5〜8点)とToDo一覧(表形式)を作らせる。

入力には次が仕込まれている(検証01の設計をそのまま使用)。

  • 数値:売上前年比120%/ROAS 380%(目標300%)/CVR 2.1%(前月1.8%)/カート放棄率約7割/広告費80万→100万円
  • 決定と未決定の区別:インフルエンサー起用を「まだ検討段階」「決定ではない」と明言
  • 雑談ノイズ:コーヒーメーカーの話、天気・傘の話
  • 期限の表現ゆれ:「7月8日までに」「7月10日を目標に」「調査してからまた相談」「来週の役員会」「次回の定例までに」
  • 担当のあいまいさ:「みんなで持ち寄りましょう」(=全員)

旧世代の弱点は解消されたのか

検証01の指摘は「Qwen3の3サイズが揃って『役員会で広告費増額の承認を得る』を落とす」だった。 承認待ち・依頼待ちの事項をタスク化する判断が弱い、という内容である。

モデル広告配信設計LP改修送料調査役員会での承認候補リスト
claude-sonnet-5クラウド 3/33/33/33/33/3
qwen3.8:27b 3/33/33/33/33/3
gemma3:12b 3/33/33/33/33/3
phi4:14b 3/33/33/33/33/3
Swallow-8B 3/33/33/33/30/3
qwen3:32b 3/33/33/30/33/3
qwen3:14b 3/33/33/30/33/3
qwen3:8b 3/33/30/31/33/3
llama3.1:8b 3/33/30/30/33/3
ELYZA-JP-8B 0/33/33/33/33/3
答えは「解消されたが、現行世代には残っている」。 qwen3.8:27b は 3/3。一方 qwen3:32b と 14b は今回も 0/3、8b は 1/3 で、検証01の指摘がそのまま再現した。
ただしQwen3系だけの弱点ではない。 llama3.1:8b も 0/3 だった。逆に gemma3:12b・phi4:14b・Swallow-8B は Qwen3の32Bより小さいのに 3/3 取れている。 モデルサイズでも系統でもなく、モデルごとの性質である。

qwen3.8:27b は決定と未決定を書き分けている

・広告予算を80万円から100万円に増額する案を、山田が来週の役員会で諮る(承認は未定)
・インフルエンサー起用は検討段階であり、候補リストの持ち寄りを次回定例までに各担当で行う。

「承認は未定」「検討段階」を明示している。 メモで「決定ではない」と明言されている事項を、決定事項として書いていない。

数値は3つ目が落ちる

サマリー7論点のうち、拾えた回数に大きな差が出た(全30件中)。

論点拾えた件数
送料がカート最終段階まで出ない30/30
広告費 80万→100万円の増額提案30/30
売上 前年比120%27/30
ROAS 380%(目標300%)27/30
カート放棄率 約7割18/30
夏の新商品を7月中旬にローンチ16/30
CVR 2.1%(前月1.8%)9/30
「売上120% → ROAS 380% → CVR 2.1%」と3つ並んだ数値のうち、最後のひとつだけが落ちる。 前2つは27/30が拾うのに、CVRは9/30。言及したのは Sonnet 5・qwen3.8:27b・qwen3:8b の3モデルだけだった (判定漏れではなく、実際に書いていないことを目視で確認)。
サマリーを5〜8点に収める指示があるため、何かを削らざるを得ず、数値が削られている。 実務では「落としてはいけない数値」を明示的に指定する必要がある。

Implications

実務への示唆

実務への示唆

論点この検証からわかったこと
議事メモ作成を任せられるか qwen3.8:27b なら任せられる水準に達した。22/22・ばらつき0で、 ハルシネーションもノイズ混入もない
モデルは大きいほど良いか 違う。qwen3:32b(20.2GB)が17点、gemma3:12b(8.1GB)が20点。 サイズと精度は相関しない
世代交代の効果は あった。旧世代が揃って落とした項目を次世代は取れている。 ただし現行世代の32B・14Bには弱点が残っている
速度重視なら gemma3:12b。20点・5.7秒。qwen3.8:27b の1/5の時間で9割の精度
プロンプトで補うべきこと 落としてはいけない数値を明示する。3つ並んだ数値の最後(CVR)が 21/30で落ちた。5〜8点という字数制約が効いている
何が崩れないか 書かれていることを整形する能力は全モデルで崩れない。 ハルシネーション・ノイズ混入は0件。差は取りこぼしだけ

生成系AI活用、DX推進についてご相談ください

レビュー分析やインサイト生成、戦略支援など、生成系AIの活用やDX推進について幅広く支援いたします。

お問い合わせ